モーツァルト：ピアノ・ソナタ第5, 9番，幻想曲K397 他　ベズイデンホウト(fp) （HMU907528）

曲目・演奏者

●モーツァルト：
[1] 幻想曲ニ短調 K.397 (初版)
[2] ピアノ・ソナタ第9番ニ長調 K.311
[3] 前奏曲とフーガ K.394
[4]「わたしはランドール」による12の変奏曲 変ホ長調 K.354
[5] ピアノ・ソナタ第5番ト長調 K.283
[6] 幻想曲ニ短調 K.397 (現行版)

■クリスティアン・ベズイデンホウト(fp)

ディスク・データ

CD// 海外盤 {DDD} HMF＊HMU 907528
　発売：12年／録音：2011年／収録時間：71分
△ディジパック・タイプ　△ディスク＝MADE IN AUSTRIA

コンディション

◇ディスク：B/ スリキズ部分的にあり(強め含む＊動作確認済)
◇ブックレット：A-/ 表紙に薄汚れわずかにあり 内部白地部分に軽い変色あり
◇紙ケース：A-/ 小キズ少しあり

録音データ・その他

☆2011. 10 ロンドン・リンドハースト・ホール内エア スタジオにおける録音。(P) ロビーナ・G. ヤング、(E) ブラッド・マイケル。
−ベズイデンホウトは南アフリカ生まれのフォルテピアノ、モダン・ピアノ、チェンバロ奏者 (1979- )。オーストラリアで音楽の勉強をはじめ、アメリカのイーストマン音楽学校を最優秀の成績で卒業。2001年 ブルージュ国際古楽コンクールで第1位と聴衆賞を獲得し、国際的な注目を集めました。ロンドンに居を構え、世界各地で演奏活動など展開しています。2009年からハルモニア・ムンディと長期的な録音関係をスタートさせましたが、当アルバムは2009〜14年で完成させた9集からなるモーツァルト：鍵盤楽器のための作品全曲録音の第4集。2012年5月の来日リサイタルでも演奏され、高い評価を得たプログラムとのことです。幻想曲ニ短調は現行版と初版両方を収録。この幻想曲ニ短調は自筆譜が残されておらず、1804年に出版された初版では97小節までで中断、現行版にある最後の10小節がありません。初版の表題には「Fantaisie d' Introduction… (導入の幻想曲)」とあり、そのあとにソナタなどが続くことを想定していたものと思われますが、1806年にブライトコプフ社が出版したいわゆる「旧全集」では10小節が足され、これ1曲で完結した形となっています。ベズイデンホウトはアルバム冒頭で未完結の初版を置き、その後[2]のソナタに繋がるようにしているわけです (幻想曲 K. 475とソナタ第14番 K.457のように)。隠れた名曲[3]の収録も魅力。
−使用楽器は1805年のA. ヴァルターに基づくポール・マクナティ制作 (チェコ・ディヴィショフ 2009年)。粒立ちのいい、繊細で美しい音色と豊かな響き。快速パッセージも得意で、ダイナミクスも充分。そんな楽器を操るベズイデンホウトはこのフォルテピアノを完全に自分のものにしているかのようで、冴えたテクニックを駆使して流麗なフレージングで歌いながら、表情を大きくとって音楽の持つ情感を見事に表出しています。多めにつけている装飾音やアインガングの挿入も小粋。ベズイデンホウト、才気煥発な才人です。