Rシュトラウス：影のない女　カイルベルト＝Baye； Jトーマス(T) 他 （DG・3CD）

曲目・演奏者

●R.シュトラウス：
「影のない女」全曲

■ジェス・トーマス(T：皇帝)　イングリート・ビョーナー(S：皇后)　マルタ・メードル(MS：乳母)　ディートリヒ・フィッシャー- ディースカウ(Bs：バラク)　インゲ・ボルク(S：バラクの妻)　ハンス・ホッター(Br：霊界の使者)　ヘルタ・テッパー(A：天上からの声) 他
　ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 バイエルン放送so　同cho　テルツ少年cho

ディスク・データ

CD// 海外盤 {ADD} DG＊449 584-2 (3枚組)
　発売：96年／録音：1963年LIVE／収録時間：68+65+52分
△独語詞・英訳掲載　△ディスク中心部の刻印＝MADE IN GERMANY BY PMDC

コンディション

◇ディスク：1)A-〜B+/ 小スリキズ少しあり(強め含む＊動作確認済)，2)A-〜B+/ 小スリキズ少しあり 内縁にスリキズあり，3)A-/ 小スリキズ少しあり
◇ブックレット：A-〜B+/ 表紙両面にシワあり(強め含む) / 内部白地部分に変色あり(軽め)
◇プラケース：B+

録音データ・その他

☆1963. 11. 21 ミュンヘン国立劇場におけるライヴ録音。(P) ヴォルフガング・ローゼ、(E) ハインツ・ヴィルトハーゲン。
−フォン ホフマンシュタールの台本による3幕のオペラ。あらすじ ＝ 東洋の島々に住む皇帝は霊界の王の娘と結婚している。皇后となった彼女には影がなく、子供ができない。影をもたぬ呪いで皇帝が石になるのを嘆き、皇后は貧しい染物屋の女房から影をもらい受けようと図る。しかし結局彼女は他人を犠牲にしてまで影の入手を望まない。その精神の尊さゆえに奇跡が起こり、皇帝は石から甦り、彼女も影を得て人間になる。−物語は魔法の世界を舞台としていますが、霊界、人間界、地下の暗闇を行き来します。｢魔笛」を意識したと言われるおとぎ話的な作品ですが、よりおとな向きで、象徴的、暗示的。愛と自己犠牲による救済の暗示はワーグナーにも通じるものでしょう。しかし最後は輝かしいハッピーエンド。−音楽は大編成のオケを用いており、大音響から室内楽的な繊細な表現まで シュトラウスの多彩な作曲技法が遺憾なく発揮されています。覚えやすいメロディでできているわけではありませんが、難解というほどではなく、ふと美しいメロディが心を捕らえたりします。第3幕は特に感動的な音楽です。−なお「オペラ対訳プロジェクト」というサイトに 当オペラの和訳が掲載されています。力作です。
−当録音は第二次大戦で破壊されたバイエルン国立歌劇場の再建記念として上演されたもの。慣習的なカットあり。カイルベルトは難曲に対し 健闘というところでしょうが、当時のドイツ系歌手の名手を揃えた歌が素晴らしい。特に皇后を歌うビョーナーには驚きました。イタリア的に言うとリリコ・スピントというところでしょう、透明な美しさ、伸び、張り、強さ。私にとってドイツ系の理想的なソプラノではないかと。ノルウェー出身 (1927- 2006) で、1950年代半ばから1980年代まで、 特にワーグナとR. シュトラウスを得意としたとのことですが、なぜ録音が少ないのでしょう。彼女はビルギット・ニルソン以後のノルウェーが誇る世界的名ソプラノではなかったのでしょうか。ワーグナー、シュトラウス以外でも「ドン ジョヴァンニ」のアンナ&エルヴィーラ、｢フィデリオ」のレオノーレ、｢魔弾」のアガーテなんかも聞きたかったところです。